ホンダの山本雅史モータースポーツ部長(以下、山本MS部長)が取材で山本尚貴のF1ドライブについて語ってくれました。
来年(2019年)のシートは、ダニール・クビアトとアレクサンダー・アルボンで決まってしまいましたが、だからといってホンダも山本尚貴もF1を諦めたわけじゃありません。
逆に、今でもトロロッソやレッドブルに猛烈にプッシュしている様子が伺えます。
トロロッソが山本を獲らなかったのは、年齢と時期が遅すぎたため
筆者は当ブログでもずっと山本尚貴のF1参戦を期待した記事を綴ってきましたが、最終的にはレギュラーシートは獲得できませんでした。
山本がトロロッソのシートを獲得できなかった背景は、別に彼が「遅い」からではなく「海外フォーミュラレース経験が無い」からでもなく、トロロッソというチームはチームカラーとして「若手を乗せる」のが大前提なので、30歳という年齢でまず引っかかったという感じですね。
ブレンドン・ハートレーより1歳年上なだけなんですが、ガスリーやフェルスタッペン、過去のトロロッソドライバーから見ても山本尚貴をルーキーとして選抜はできなかったようです。
それに加え、山本尚貴のスーパーライセンスポイントが40ポイントをクリアしたのがスーパーGT最終戦で、結果如何ではトロロッソとの交渉云々以前にスーパーライセンスを取得できない懸念もありました。
さぁ、ポイントはクリアしたぞ!と思ってそこから交渉しても時期が遅すぎたってことですね。
これが最終戦を待たずチャンピオン決定だとか、もしくはチャンピオンとは関係なくスーパーライセンスポイントを満たしていたとなれば、また違った展開になったかもしれません。
ここまで読んで
「じゃあ、スーパーライセンスポイントを満たしていても、年齢的な問題でこの先も山本尚貴はF1に乗れないんじゃない?」
と思う方もいるでしょう。
そのあたりのことについては山本MS部長が語っています。
ホンダ、トロロッソ、レッドブルとも前向きに山本尚貴を乗せることを話し合っている
motorsport.comの記事によりますと
山本雅史モータースポーツ部長も彼をF1に乗せるための働きかけを継続しているという。
「彼が積極的にチャレンジしたいという思いに対しては、なるべく応えていきたいと思っています。来季のF1レギュラーシートに関しては現時点で叶っていませんが、何らかの形で彼をF1に乗せてあげることで、レーシングドライバーとして(山本尚貴が)ひとつ成長するのかなと思っています。そういう部分で、(トロロッソ代表のフランツ・トストさんや(レッドブル・モータースポーツ・アンバサダー)ヘルムート・マルコさんとも話をしています」
これを読むと、ドライバーがアルボンに決まった後にも山本尚貴について話し合っているということがわかりますね。
さらに、
「レッドブル(トロロッソを含め)は若いチームなので、年齢的な部分でいくと、山本尚貴は30歳なので正直難しいところはあります。ただ、ホンダがモータースポーツの発展と日本人F1ドライバーの輩出など、いろんな兼ね合いで考えるのであれば(彼の起用に関して)話はしていこうと(トスト代表とマルコ博士に)言ってもらっています」
「レギュラーシートに関しては来年はありませんが、(F1に乗ることに対して可能性が)消えているわけではありません。どこかのテストであったりとか、彼がF1を経験できるという環境の(用意をするべく)話はしていきたいと思っています」
と山本MS部長はコメントしています。
ここからは、行間を読まなければわかりませんが、少なくとも山本尚貴がテストであれフリー走行であれ乗る機会が無いのであれば、そんな話は出ず「来年もスーパーフォーミュラとスーパーGTを頑張ります」とか言えばいいだけのことですから、ホンダとしてはかなりプッシュをしているんだと思われます。
そして、プッシュだけではなく、ここまで具体的なコメントが出るということは水面下ではほぼ山本尚貴をどこかで乗せようという話が決まりかけてるんだろうと予想します。
テスト走行に関しては過去にも松下信治がザウバーから出走してますし、山本尚貴が走ってもスゴいってわけでもないです。
今年のトロロッソのテスト走行を担当したショーン・ゲラエルの戦績でもテストできるんですから。(ゲラエルは際立った戦績もなく、今年のF2では牧野より下のランキング15位)
ということは、スーパーライセンスポイントを満たした山本尚貴はフリー走行出走を狙ってるんじゃないでしょうか?
もちろん、その前にテストで起用するかもしれませんが、フリーで使ってほしいとホンダは思ってるはずです。

https://www.honda.co.jp/SF/spcontents2017/overtake/3-masashi-yamamoto.html
いくつかのレースのフリー走行1に出走するのであれば、その「いくつか」のうち一つは日本グランプリで間違いないでしょう。
前半戦で光るものを見せてくれたら、もしかするとクビアトやアルボンが今年のハートレー以上に奮わない場合には交代もありえるでしょう。
「タナボタ」という言葉があります。「棚からぼた餅」の略ですね。
これは降って湧いたようなラッキーが自身に及ぶという意味で使われることが多いですが、実際に当てはめてみると棚の下にいなければぼたもちが落ちてきても手に入らないわけで。
レースでも2位を走っていなければ、トップが急にリタイヤして優勝が転んでくることもない。
同じように、トロロッソのドライバーを交代させたい!という状況が来た時に、「次はオレ!」というポジションにいなければお呼びがかからないわけです。
だからこそ山本尚貴がフリー走行に出走するのは意味があることなんです。
まぁ、来年ホンダのドライバーである松下信治や角田裕毅などが目覚ましい活躍をすれば、山本尚貴は国内に専念という道に落ち着くでしょうけれど、それもまだ不確定。
ファンとしては、来年トロロッソのレーシングスーツに身を包んだ山本尚貴を見てみたいですね。